使用者による障害者虐待認められた事業所597ヵ所
厚生労働省は、平成29年度「使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表した。これは、平成24年に施行された「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づき公表しているもの。
それによると、労働局に寄せられた使用者(障害者を雇用する事業主や職場の上司など)による障害者虐待の通報・届出のあった事業所数は1483事業所、通報・届出の対象となった障害者数は2454人、使用者による障害者虐待が認められた事業所数は597事業所、虐待が認められた障害者数は1308人、虐待を行った使用者数は603人となっている(障害者虐待が認められた事業所は、届出・通報の時期、内容が異なる場合は複数計上している)。
前年度との比較では、いずれも増加しており、通報・届出のあった事業所数は12.7%増、通報・届出の対象となった障害者数は44.6%増、虐待が認められた事業所数は2.8%増、虐待が認められた障害者数は34.6%増、虐待を行った使用者数は2.0%増となった。
使用者による障害者虐待が認められた事業所を規模別にみると、5~29人が312事業所(全体の52.3%)と最も多く、次いで、5人未満が96事業所(同16.1%)、30~49人が82事業所(同13.7%)となっており、50人未満の規模で全体の8割以上を占めている。また、業種別では、製造業が192事業所(全体の32.2%)と最も多く、次いで、医療、福祉123事業所(同20.6%)、卸売業、小売業70事業所(11.7%)、サービス業(他に分類されないもの)50事業所(同8.3%)の順となっている。
また、虐待が認められた障害者の障害種別は、身体障害272人、知的障害489人、精神障害452人、発達障害36人となっている(重複しているものがある)。受けていた虐待の種別をみると、「経済的虐待」(賃金不払、最低賃金の効力に関する違反を含む)1162人、「心理的虐待」116人、「身体的虐待」80人、「放置等による虐待」27人、「性的虐待」7人などとなっている(重複しているものがある)。
次に、使用者による障害者虐待が認められた場合に労働局がとった措置は1338件(対前年度比30.9%増)となっており、内訳は、労働基準関係法令に基づく指導等が1204件(うち最低賃金法関係881件)、障害者雇用促進法に基づく助言・指導が98件、個別労働紛争解決促進法に基づく助言・指導が23件、男女雇用機会均等法等関係法令に基づく助言・指導、紛争解決の援助等が7件となっている。