45.1%の事業場に違法な時間外労働認められる
厚生労働省は、平成29年度に実施した長時間労働が疑われる事業場を対象とした監督指導の結果をまとめた。それによると、監督を行った約2万6000事業場のうち45.1%に当たる1万1592事業場に違法な時間外労働が認められた。
この監督指導は、長時間労働が疑われる事業場を対象に集中的に行っているもので、各種情報から時間外・休日労働数が1ヵ当たり80時間を超えていると考えられる事業場、長時間労働にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としている。
監督指導の結果をみると、監督を行った2万5676事業場のうち、1万8061事業場(全体の70.3%)で労働基準関係法令違反が認められた。違反率は前年度(66.0%)を4.3ポイント上回った。主な違反内容は、違法な時間外・休日労働があったものが1万1592事業場(全体の45.1%)、賃金不払残業があったものが1868事業場(同7.3%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが2773事業場(同10.8%)となっている。
主な業種別(監督実施事業場数が1000を超える業種)の違反率をみると、運輸交通業が83.7%と最も高く、次いで、接客娯楽業80.2%、製造業73.4%、商業70.0%、教育・研究業64.8%の順となった。
また、違反事項別では、違法な時間外労働は、運輸交通業が62.1%と最も高く、以下、接客娯楽業55.3%、製造業50.2%、商業46.1%、教育・研究業31.7%の順となっている。賃金不払残業は、接客娯楽業が12.8%と最も高く、以下、商業9.3%、運輸交通業6.3%、製造業6.1%、建設業5.6%の順となっている。
違法な時間外労働があった事業場のうち、時間外労働の実績(法定労働時間を超える労働及び法定休日における労働)が最も長い労働者の時間数が1ヵ月当たり80時間を超えるものが8592事業場(74.1%)、同100時間を超えるものが5960事業場(51.4%)、同150時間を超えるものが1355事業場(11.7%)、同200時間を超えるものが264事業場(2.3%)となった。
また、賃金不払残業があった事業場のうち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が1ヵ月当たり80時間を超えるものが1102事業場(59.0%)となっている。
次に、主な健康障害防止に関する指導状況をみると、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導したものが2万986事業場(全体の81.7%)、そのうち時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したものが1万3658事業場(同65.1%)となった。
また、労働時間の把握方法が不適正なため指導したものが4499事業場(全体の17.5%)、そのうち時間外労働の最も長い労働者の時間数が1ヵ月当たり80時間を超えるものが1878事業場(指導した事業場の41.7%)となっている。
同省は、これら違反事業場に対しては、是正勧告書を交付し、是正・改善に向けた指導を行った。