法違反率は3年ぶりに上昇し68.3%

厚生労働省は、平成29年の定期監督等実施状況・法違反状況をまとめた。それによると、労働基準法、労働安全衛生法などの労働関係法令違反の事業場割合(法違反率)は68.3%で、前年(66.8%)と比べ1.5ポイント上昇した。法違反率が前年を上回ったのは3年ぶり。業種別にみた法違反率は、最も高いのは映画・演劇業の80.0%、次いで、接客娯楽業77.7%、運輸交通業76.5%の順。また、労働基準法関係の違反内容で最も多いのは労働時間、次いで、割増賃金、労働条件の明示、賃金台帳──の順となっている。

 同省のまとめによれば、平成29年に定期監督等を実施した事業場数は13万5785事業場(前年13万4617事業場)で、そのうち、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの法令違反が認められた事業場数は9万2695事業場(同8万9972事業場)となっている。法違反率は前年(66.8%)を1.5ポイント上回る68.3%となり、3年ぶりの上昇となった。

法違反率を業種別にみると、最も高いのは映画・演劇業の80.0%、以下、接客娯楽業77.7%、運輸交通業76.5%、畜産・水産業74.6%、保健衛生業74.5%、商業74.0%、製造業71.3%、清掃・と畜業68.4%、鉱業67.6%、教育・研究業65.3%──と続いている。

法違反率を前年と比べると(前出の10業種)、前年より低下したのは教育・研究業(マイナス2.1ポイント)、鉱業(同1.4ポイント)、清掃・と畜業(同0.1ポイント)の3業種となっており、他の7業種は前年より上昇しており、映画・演劇業(プラス5.8ポイント)、運輸交通業(同4.3ポイント)、商業(同3.3ポイント)での上昇幅が比較的大きくなっている。

次に、違反内容別の件数をみると、労働基準法関係は、労働時間(第32条、第40条)が3万632件と最も多く、以下、割増賃金(第37条)2万347件、労働条件の明示(第15条)1万3929件、賃金台帳(第108条)1万1784件、就業規則(第89条)1万484件、賃金不払(第23条、第24条)5334件、休日(第35条)2643件、休憩(第34条)2249件、労働者名簿(第107条)1436件──などとなった。

また、労働安全衛生法関係の違反では、安全基準(第20条~第25条)が2万3816件(うち2万2987件が労働安全衛生規則関係)と最も多く、以下、健康診断(第66条)2万586件(うち1万8740件が労働安全衛生規則関係)、定期自主検査(第45条)6455件、衛生基準(第20条~第25条)6080件、作業主任者(第14条)5791件、衛生管理者(第12条)5155件、注文者(第31条)4476件、作業環境測定(第65条)3305件(うち2349件が有機溶剤中毒予防規則関係、1655件が特定化学物質障害予防規則関係)、安全衛生委員会等(第17条~第19条)2703件、安全衛生教育(第59条、第60条)1868件、就業制限(第61条)1434件──などとなっている。

このほかに、賃確法違反(第3条の貯蓄金保全措置)が2件、最低賃金法違反(第4条の最低賃金の効力)が3955件、じん肺法違反が719件(うち91件が第7条の就業時健康診断、628件が第8条の定期健康診断)、労働者派遣法の特例違反(第44条の労働基準法の適用に関する特例及び第45条~第47条の労働安全衛生法等の適用に関する特例)が210件(うち79件が労働基準法、131件が労働安全衛生法等)となった。