求人時の受動喫煙対策の内容明示を義務化

厚生労働省が今国会に提出した「健康増進法の一部を改正する法律案」には、従業員に対する受動喫煙対策に係る規定も含まれている。同法案は、多数の者が利用する施設等では、一定の場所以外は禁煙とするとしており、加えて、当該施設等の管理について権原を有する者は、20歳未満の者(従業員を含む)を喫煙可能場所に立ち入らせてはならないとしている。また、同省では、求人者に対し、労働者の募集を行う際には、どのような受動喫煙対策を講じているか明示する義務を課す法令の整備を別途行う予定としている。

 法案は、3月9日に国会に提出され、政府は、今国会中の成立を目指している(本誌前号既報)。その内容は、望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理について権原を有する者が講ずべき措置等について定めるものとなっている。

改正法の成立・施行後は、これら施設等で喫煙が可能となるのは、屋外の喫煙所(学校、病院、児童福祉施設等)、一定の基準を満たした喫煙室(事務所、飲食店等のうち新規開設または経営規模の大きい店舗等)、既存の飲食店、喫茶店等のうち経営規模が小さい店舗(喫煙可能な箇所にはその標識を掲示することが必要)──となる。

そして、喫煙可能スペースであっても、20歳未満の者については、立入禁止とすることが施設等の管理権原者等の義務となっている。この「20歳未満の者」には、施設等を利用する客のほか、従業員も含まれることになる。違反があった際には、都道府県知事等の指導によって改善を図ることとしている。

また、施設等の管理権原者には、受動喫煙を防止するための措置を講じる努力義務が課される。努力義務に基づく対応の具体例については、国のガイドラインで示す予定で、ガイドラインに盛り込む措置の例として、①モデル労働条件通知書を活用した従業員への受動喫煙防止対策の周知、②勤務シフト・店内レイアウト・サービス提供方法の工夫、③喫煙室や排気装置の設置などハード面の対策、④助成金、相談窓口等利用可能な支援策の概要──などが検討されている。

このほか、従業員の募集を行う者に対して、どのような受動喫煙対策を講じているかについて、募集や求人申込みの際に明示する義務を課す措置を法改正とは別に関係省令等により講じる予定。