32年4月から事務所等の施設は屋内禁煙
受動喫煙を防止するため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、一定の場所を除き禁煙とすることなどを内容とした「健康増進法の一部を改正する法律案」が3月9日、国会に提出された。法案では、学校、病院、行政機関等は敷地内禁煙、事務所等、飲食店は一定の基準を満たした喫煙室を除き屋内禁煙としている。ただし、個人または中小企業(資本金5000万円以下)で客席面積が100m2(平米)以下の既存の飲食店は、喫煙できることを掲示すれば喫煙可能としている。施行期日は一部を除き平成32年4月1日となっている。
法案は、「望まない受動喫煙」をなくすとういう観点から、施設の類型・場所ごとに、主たる利用者の違いや、受動喫煙が他人に与える健康影響の程度に応じ、禁煙措置や喫煙場所の特定などの対策を講じるものとなっている。
施設の類型・場所ごとの対策を具体的にみると、まず、学校、病院、児童福祉施設、国・地方公共団体の行政機関の庁舎等は敷地内禁煙とする。なお、これらの施設では、屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に、喫煙場所を設置することができる。また、旅客運送事業の自動車・航空機の内部は禁煙とする。
次に、上記以外の施設(事務所、飲食店等)は屋内禁煙とする。なお、これらの施設では、一定の基準に適合した喫煙室を設けることが可能としている。この場合、施設に喫煙室が設置されていること及び喫煙室への20歳未満の者の立入禁止などを掲示することを義務化する。また、旅客運送事業の船舶・鉄道等車両の内部は、一定の基準に適合した喫煙室を除き禁煙とする。
ただし、改正法施行時において既に存在する飲食店・喫茶店等のうち経営規模が小さい事業者が運営するものについては、事業継続に配慮し、別に法律で定める日までの間は、標識を掲示することにより喫煙が可能としている。その具体的範囲は、中小企業(資本金または出資総額5000万円以下)や個人が運営する店舗で、客室面積100m2(平米)以下となっている。なお、これらの施設でも、喫煙が可能な部分は客・従業員ともに20歳未満の者は立入禁止とする。
このほか、旅館・ホテルの客室などはこれらの禁煙措置は適用除外とすること、喫煙が可能な室には20歳未満の者は立ち入りを禁止すること、加熱式たばこについても当分の間、これらの禁煙措置の対象とすること(加熱式たばこ専用の喫煙室では飲食が可能)などを定めている。
改正法の施行期日(施設の類型・場所ごとの対策部分)は、学校、病院、児童福祉施設、行政機関等に関する規定は公布日から1年6ヵ月以内で政令で定める日、その他の施設に関する規定は平成32年4月1日となっている。