労災請求件数・支給決定件数とも前年度より増加
厚生労働省は、平成28年度における石綿(アスベスト)による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況(確定値)をまとめた。
それによると、石綿による疾病に係る労災保険給付の請求件数は1109件となっており、前年度(1063件)と比べ46件(4.3%)増加している。また、支給決定件数(当該年度に請求されたものに限らない)は石綿肺の76件を含め1057件となっている(石綿肺は、じん肺の一種で、23年度から集計を開始)。なお、石綿肺を除いた支給決定件数は981件で、前年度(969件)と比べ12件(1.2%)増加した。
これを疾病別にみると、請求件数は、肺がん427件(前年度414件)、中皮腫595件(同578件)、良性石綿胸水30件(同26件)、びまん性胸膜肥厚57件(同45件)となった。支給決定件数は、肺がん386件(前年度363件)、中皮腫540件(同539件)、良性石綿胸水20件(同20件)、びまん性胸膜肥厚35件(同47件)となっている。
次に、平成18年3月27日に施行された石綿救済法に基づく特別遺族給付金の請求・決定状況をみると、請求件数は36件となっており、前年度(30件)と比べ6件(20.0%)増加している。また、支給決定件数(当該年度に請求されたものに限らない)は13件となっており、前年度(20件)と比べ7件(35.0%)減少した。
支給決定件数を疾病別にみると、肺がん10件(前年度12件)、中皮腫1件(同8件)、石綿肺2件(同0件)、びまん性胸膜肥厚0件(同0件)となっている(請求時には疾病名は記載しないため、疾病別の請求件数は集計できない)。
なお、労災保険法に基づく石綿による疾病に係る保険給付の請求件数及び支給決定件数を都道府県別にみると、請求件数が最も多いのは東京の137件、次いで、神奈川99件、大阪98件、兵庫85件の順となっている。支給決定件数が最も多いのは東京の118件、次いで、大阪95件、北海道80件、神奈川77件の順となっている。