法的保護の必要性を含め まず実態把握中心に検討
厚生労働省は、請負や自営など雇用によらない働き方に関する実態等を把握し、それらの働き方に関する法的保護の必要性を検討する「雇用類似の働き方に関する検討会」(座長・鎌田耕一東洋大学法学部教授)を設置した。
働き方改革実行計画(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)では、「雇用契約によらない働き方は、基本的に労働関係法令が適用されず、またその多様な就業実態の把握が不十分である」と指摘し、「雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について、法的保護の必要性も含めて中長期的に検討する」ことが示された。
雇用によらない働き方に関しては、経済産業省が昨年11月、産業振興の観点からの雇用によらない働き方の環境整備を目的とした「雇用関係によらない働き方に関する研究会」(座長・高橋俊介慶應義塾大学大学院メディア研究科特任教授)を設けている。同研究会は、専業主婦の内職、企業に勤めながら空いた時間にフリーランス(仕事を引き受ける都度単発で契約を結ぶ形態の請負)として収入を得ている者などの実態調査と課題整理を行い、今年3月に報告書をまとめた。報告書では、週当たりの平均労働時間は32.4時間となっており、6割以上の者が「現在の働き方を今後も継続したい」と回答していること、また、フリーランスを活用する企業は2割であることなどが報告された。
今回の厚生労働省の検討会では、雇用によらない様々な働き方がある中で、「雇用類似の働き方」にはどのような者が存在するか、また、近年、クラウドソーシング事業などの普及により発生している新しい働き方をどのように位置付けるかなど、実態や課題の把握を主に行うこととしている。
検討会は今後、個人請負の活用が多いと想定される業種や労働組合法上の労働者(労働基準法上の労働者を除く)と想定される業種などを対象にヒアリングを行い、来年3月には取りまとめを行う予定。