特別条項付き協定でも時短すれば助成対象

厚生労働省は、36協定で定める上限時間を短縮した場合の助成金を来年度から大幅に拡充する。拡充後は、特別条項付きの36協定を締結している中小事業主が、平成30年度または31年度に有効な36協定において、一定期間の延長時間の上限を限度基準以下に設定した場合などに、設定した上限時間に応じて最大100万円を支給する。加えて、週休制を拡大した場合は、休日の増加数に応じて最大100万円を加算する。また、限度基準告示が適用除外されている建設業、自動車運転業務についても新たに支給対象とする。

 この助成金は、現在の「職場意識改善助成金」を「時間外労働等改善助成金」(仮称)に改称し、内容を大幅に拡充するもの。拡充後は、現行制度の①時間外労働上限設定コース、②勤務間インターバル導入コース、③職場環境改善コース、④所定労働時間短縮コース──に加え、中小企業の事業主団体を対象とした団体推進コースを新設する。なお、上記③、④は統合して職場意識改善コースとする。

 このうち、時間外労働上限設定コースの拡充後の内容をみると、支給対象となるのは、時間外労働が1ヵ月80時間(休日労働を含む)・1年720時間を超える特別条項付きの36協定を締結し、現に当該時間を超える時間外労働を行った労働者がいた中小事業主が、平成30年度または平成31年度に有効な36協定において、時間外労働の上限を1ヵ月45時間・1年360時間以下に設定した場合(1ヵ月80時間(休日労働を含む)・1年720時間以下の設定の場合も含む)。

 また、時間外労働が1ヵ月80時間(休日労働を含む)・1年720時間以下の特別条項付きの36協定を締結し、現に当該時間の範囲内の時間外労働を行った労働者がいた中小事業主が、平成30年度または平成31年度に有効な36協定において、時間外労働の上限を1ヵ月45時間・1年360時間以下に設定した場合。

 助成の対象は、就業規則等の作成・変更費用、研修費用(業務研修を含む)、外部専門家によるコンサルティング費用、労務管理用機器等の導入・更新費用、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新費用──など。助成率は、これらに要した費用の4分の3で、上限時間の設定に応じ限度額がある。月80時間・年720時間を超える特別条項付き協定を締結している事業主が、月45時間・年360時間以下に設定した場合の限度額は100万円、そのほかの場合の限度額は50万円となっている。

 さらに、上記の取組みに加えて、就業規則を変更するなどして週休制を拡大した場合には、休日日数の増加度合いに応じて限度額を加算する。加算額は、4週当たり4日増で100万円、3日増で75万円、2日増で50万円、1日増で25万円。

 なお、拡充後は、現行制度では支給対象から除かれている限度基準告示の適用除外業種も支給対象とする。