イノベーション実現には裁量労働制の導入も重要
厚生労働省は、「平成29年版労働経済の分析」(通称・労働経済白書)をまとめた。今年の白書は、少子高齢化により労働供給制約下にある我が国で経済成長を実現するためには、労働生産性の向上とともに供給制約の解消を図ることが重要であるとの認識の下、イノベーションの進展への対応及びワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組みなどについて分析を行っている。
白書は2部構成で、第1部「労働経済の推移と特徴」では、平成28年度の雇用情勢の動向、賃金の動向などを中心に記述している。そして、第2部では、「我が国の経済成長とイノベーション・雇用との関係」及び「働き方をめぐる環境の変化とワーク・ライフ・バランスの実現」をテーマに分析している。
その中で、イノベーションの実現に向けた課題について、イノベーション活動を促進する要因として、「研究開発」、「先進的な機械等の取得」を挙げ、「国際的にみても研究開発が進むほどイノベーションが実現しやすいという関係がみられ、新事業の創出や技術基盤の強化を目的とした研究開発を進めていくことが重要である」としている。
また、人材の有効活用に向けた教育訓練の促進が課題であるとし、長時間労働にならない適切な人事管理の下での研究開発成果を反映した人事評価、裁量労働制の導入などの取組みも重要とした。
次に、「労働時間が短いほど労働生産性が高いという関係がみられるため、労働時間を短縮することが重要」とし、「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組みを進めていくことにより、売上高の増加や離職率の低下が期待できる」と指摘している。そして、長時間労働を削減する企業の取組みとしては、「短時間で質の高い仕事をすることの評価」や「仕事を代替できる体制の整備」などを併せて行うことが有効としている。
また、「テレワークなど情報技術を活用した働き方の導入を促進することが、労働生産性の向上やワーク・ライフ・バランスの実現に貢献することが期待される」とし、テレワークは、仕事の生産性の向上やストレスの軽減など、企業と労働者双方にメリットがあるとしている。