労働力不足への対処法は「正社員を増やす」が62％

厚生労働省は、「労働経済動向調査（平成29年８月）」の結果をまとめた。

調査結果によると、29年８月１日現在の労働者過不足状況は、正社員等労働者を「不足」とする事業所割合が40％、一方、「過剰」とする事業所割合は３％となっている。この結果、正社員等労働者過不足判断指数（「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値）はプラス37ポイントとなり、23年８月以降25期連続して不足超過となった。

これを産業別にみると、すべての業種で不足超過となっており、「医療、福祉」（プラス50ポイント）、「運輸業、郵便業」（同49ポイント）、「建設業」（同48ポイント）での不足超過幅が大きい。

次に、雇用調整を実施した事業所割合（29年４～６月期実績）は30％で、前期（29年１～３月期＝27％）より３ポイント増加した。雇用調整の実施方法をみると（複数回答）、「配置転換」が15％（前期13％）と最も多く、次いで、「残業規制」12％（前期12％）、「休日の振替、夏季休暇等の休日・休暇の増加」10％（同８％）、「出向」７％（同６％）──の順となっている。

産業別にみた雇用調整実施事業所の割合は、「建設業」24％（前期22％）、「製造業」29％（同26％）、「情報通信業」34％（同31％）、「運輸業、郵便業」36％（同35％）、「卸売業、小売業」29％（同25％）、「金融業、保険業」33％（同23％）、「不動産業、物品賃貸業」28％（同26％）、「学術研究、専門・技術サービス業」37％（同32％）、「宿泊業、飲食サービス業」24％（同25％）、「生活関連サービス業、娯楽業」22％（同25％）、「医療、福祉」33％（同28％）、「サービス業」27％（同22％）となった。

今回調査の特別調査項目である現在不足している労働力に対する対処方法について、過去１年間、今後１年間でみると（複数回答）、過去１年間及び今後１年間ともに、「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」が最も高く（過去１年間：62％、今後１年間：62％）、次いで、「臨時、パートタイムの増加」（同43％、同44％）、「派遣労働者の活用」（同38％、同36％）、「離転職の防止策の強化、又は再雇用制度、定年延長、継続雇用」（同33％、同36％）、「在職者の労働条件の改善（賃金）」（同32％、同28％）の順となっている。