建設業の人材育成等に向けた取組みを重点に要求

厚生労働省と国土交通省は、建設業の人材確保・育成に向けた平成30年度予算概算要求事項の概要を取りまとめた。

建設業では、就労する技能労働者の3分の1が55歳以上であり、他産業と比べて高齢化が進行している。両省は、こうした建設業での現状認識の共有や相互の施策を支援するなど、これまでも連携した取組みを行っている。そして、今後も引き続き両省で連携して建設業の人材確保・育成に向けた取組みを進めていくため、30年度予算概算要求において、所要の要求を行っている。

それによると、29年度と同じく、①人材確保、②人材育成、③魅力ある職場づくり──の3つの重点事項で概算要求を取りまとめている。

その中から、厚生労働省関係の主な内容をみると、人材確保に関しては、建設事業主等に対する助成金による支援に53億円、ハローワークにおける人材不足分野に係る就職支援の拡充に26億円を要求している。具体的には、建設労働者確保育成助成金を目的別に「トライアル雇用助成金」、「人材確保等支援助成金(仮称)」及び「人材開発支援助成金」に統合する。また、技能実習を実施した場合の「建設労働者技能実習コース」について、若者(35歳未満)や女性を対象に経費助成の助成率を引き上げる。

ハローワークにおける人材不足分野に係る就職支援の拡充では、雇用吸収率の高い分野へのマッチング支援を強化するため、人材確保支援の総合窓口となる「人材確保対策コーナー」を全国84ヵ所に設置する。

人材育成に関しては、中小建設事業主等への支援に9億2000万円、ものづくりマイスター制度による若年技能者への実技指導に34億円の要求となった。具体的な施策としては、離転職者、新卒者、学卒未就職者等を対象に、型枠工等の躯体系職種及び電気・配管等の建設設備職種等に係る訓練から就職支援に至るまで、パッケージ型の人材育成事業を実施する。

魅力ある職場づくりの推進に関しては、時間外労働等改善助成金(仮称)による支援に17億円、中小専門工事業者の安全衛生活動支援事業の実施に1億1000万円、雇用管理責任者等に対する研修等の実施に1億3000万円を要求している。具体的には、建設事業者が時間外労働の上限設定を行った場合に助成金(現在の「職場意識改善助成金」を拡充)の支給対象とするとともに、週休2日制とした企業に対する上限額の加算を実施する。また、新たに、安全衛生管理能力の向上のための集団指導・技術研修会、パトロール、個別指導などを実施する。