法違反率、改善基準告示違反率ともに前年下回る

厚生労働省は、自動車運転者を使用する事業場に対する平成28年の監督指導・送検状況をまとめた。それによると、全国の労働局・労働基準監督署が、トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場を対象に監督指導を実施したのは4381事業場。そのうち、労働基準関係法令違反が認められたのは3632事業場で、違反率は82.9%(前年84.9%)となった。

業種別の監督状況をみると、トラックは、監督実施事業場数が3105事業場、労働基準関係法令違反事業場数が2585事業場(違反率83.3%)、バスは、同487事業場、同386事業場(同79.3%)、ハイヤー・タクシーは、同405事業場、同351事業場(同86.7%)となっている。

業種別の労働基準関係法令違反の主な違反事項は、トラックは、労働時間1842事業場(違反率59.3%)、割増賃金622事業場(同20.0%)、休日161事業場(同5.3%)、バスは、労働時間218事業場(同44.8%)、割増賃金108事業場(同22.2%)、休日25事業場(同5.1%)、ハイヤー・タクシーは、労働時間181事業場(同44.7%)、割増賃金126事業場(同31.1%)、休日13事業場(同3.2%)などとなった。

また、自動車運転者の拘束時間や運転時間などの基準を定めた告示(「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」平成元年労働省告示第7号。通称・改善基準告示)の違反が認められた事業場数は2699事業場(違反率61.6%)となっている。違反率は前年(63.3%)を1.7ポイント下回った。業種別の違反率は、トラックが67.2%、バスが54.4%、ハイヤー・タクシーが41.0%となっている。

業種別の改善基準告示違反の主な違反事項は、トラックは、最大拘束時間1588事業場(違反率51.1%)、総拘束時間1358事業場(同43.7%)、休息期間1191事業場(同38.4%)、連続運転時間987事業場(同31.8%)、最大運転時間622事業場(同20.0%)、バスは、最大拘束時間171事業場(同35.1%)、総拘束時間127事業場(同26.1%)、休息期間90事業場(同18.5%)、連続運転時間95事業場(同19.5%)、最大運転時間33事業場(同6.8%)、ハイヤー・タクシーは、最大拘束時間120事業場(同29.6%)、総拘束時間94事業場(同23.2%)、休息期間33事業場(同8.1%)などとなった。

次に、送検状況をみると、労働基準関係法令違反により送検した件数は68件となっており、前年(60件)と比べ8件増加している。

業種別にみた送検件数は、トラックが54件(前年52件)、バスが2件(同1件)、ハイヤー・タクシーが5件(同4件)となっている。