約4割の事業場に違法な時間外・休日労働が

厚生労働省は、平成28年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の結果をまとめた。今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の「使い捨て」が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して集中的に実施したもの。

監督結果をみると、監督を行った7014事業場のうち、4711事業場に労働基準関係法令違反が認められた(違反率67.2%)。主な違反事項別では、違法な時間外・休日労働があったものが2773事業場(全体の39.5%)、賃金不払残業があったものが459事業場(同6.5%)、過重労働による健康障害防止措置(1ヵ月当たり100時間以上の時間外・休日労働を行った労働者から、医師による面接指導の申出があったにもかかわらず、面接指導を実施していないものなど)が未実施のものが728事業場(同10.4%)となっている。

このうち、違法な時間外・休日労働があった2773事業場における時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数(1ヵ月)をみると、80時間を超えるものが1756事業場(違反事業場の63.3%)、うち100時間を超えるものが1196事業場(同43.1%)、うち150時間を超えるものが257事業場(同9.3%)、うち200時間を超えるものが52事業場(同1.9%)。

主な業種別(監督実施事業場数が300以上の業種)の違反率をみると、保健衛生業が85.0%と最も高く、次いで、接客娯楽業80.3%、運輸交通業74.4%、商業67.7%、製造業68.0%の順となっている。

次に、健康障害防止に係る指導状況をみると、監督を実施した事業場のうち5269事業場に対して、長時間労働を行った労働者に対し、医師による面接指導等を実施することなどの過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導した。

指導事項(重複あり)の内訳は、時間外・休日労働を1ヵ月当たり80時間以内に削減するよう指導したものが3299事業場、時間外・休日労働を1ヵ月当たり45時間以内とするよう削減に努め、その具体的方策を検討し、その着実な実施に努めるよう指導したものが1953事業場、長時間労働による労働者の健康障害防止対策について、衛生委員会等での調査審議(関係労働者の意見聴取)の実施を指導したものが773事業場、2~6ヵ月で平均80時間を超える時間外・休日労働を行っている労働者または1ヵ月100時間を超える時間外労働を行っている労働者について、面接指導等の必要な措置の実施に努めるよう指導したものが537事業などとなっている。

また、889事業場に対して、労働時間の管理が不適正であるため指導を行った。