実質賃金が5年ぶり増加に転じる
厚生労働省は、毎月勤労統計調査の平成28年分結果(確報)をまとめた。それによると、平均月間現金給与総額は前年比0.5%増の31万5590円となり、3年連続で増加した。そして、実質賃金は前年比0.7%増となり、5年ぶりに増加に転じている。労働時間をみると、年間総実労働時間は1724時間で前年(1734時間)より10時間減少し、比較可能な平成2年以降で最も短くなった(2番目は平成21年の1733時間)。また、年間総実労働時間のうち、所定内労働時間は1595時間となり、初めて1600時間を下回った。
この調査は、常用労働者(パートタイム労働者を含む)5人以上の事業所約3万3000ヵ所を対象に実施している。
まず、賃金についてみると、平成28年の1人平均月間現金給与総額は31万5590円(前年比0.5%増)となり、3年連続で増加した。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は25万9737円(前年比0.2%増)で2年連続の増加となった。また、所定内給与は前年比0.2%増の24万256円、所定外給与は同0.6%減の1万9481円、特別に支払われた給与(夏冬の賞与など)は同2.4%増の5万5853円となっている。
そして、実質賃金は前年比0.7%増となり、5年ぶりに増加に転じた。
これを一般労働者でみると、現金給与総額は41万2174円(前年比0.9%増)、きまって支給する給与は33万2653円(同0.6%増)、所定内給与は30万6036円(同0.6%増)、所定外給与は2万6617円(同0.3%減)、特別に支払われた給与は7万9521円(同2.7%増)となっている。
次に、労働時間についてみると、1人平均月間総実労働時間は143.7時間(前年比0.6%減)となった。総実労働時間のうち、所定内労働時間は132.9時間(前年比0.4%減)、所定外労働時間は10.8時間(同1.6%減)となっている。
この結果、年間総実労働時間(年平均の月間総実労働時間を12倍して年換算したもの。小数点以下第一位を四捨五入)は1724時間となり、前年(1734時間)より10時間減少し、比較可能な平成2年以降で最も短くなった(2番目に短いのは平成21年の1733時間)。年間総実労働時間のうち、所定内労働時間は1595時間、所定外労働時間は129時間(総実労働時間の年換算値から所定内労働時間の年換算値を差し引いたもの)となっている。所定内労働時間が1600時間を下回ったのは初めて。
なお、事業所規模30人以上(調査対象事業所数約1万6500ヵ所。平成元年以前の調査は事業所規模30人以上)の年間総実労働時間は1783時間で前年(1784時間)より1時間減少した(うち所定内労働時間が1631時間、所定外労働時間が152時間)。