違法残業認められた約4400事業場摘発
厚生労働省は、昨年4月から9月にかけて実施した長時間労働が疑われる事業場を対象とした監督指導の結果をまとめた。それによると、監督を行った約1万事業場のうち43.9%に当たる4416事業場に違法な時間外労働が認められた。そのうち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が1ヵ月80時間超が78.1%、同100時間超が54.8%などとなっている。また、賃金不払残業があった事業場は637事業場(全体の6.3%)だった。なお、これら法違反があった事業場に対しては、是正勧告書を交付し指導を行った。
同省では、長時間労働が疑われる事業場に対する集中的な監督指導を平成27年度から行っている。27年度は監督対象事業場を月100時間を超える残業が疑われる事業場等としていたが、28年度は月80時間に対象を拡大している。
監督指導の結果をみると、監督を行った1万59事業場のうち、6659事業場(全体の66.2%)で労働基準関係法令違反が認められた。主な違反内容は、違法な時間外・休日労働があったものが4416事業場(全体の43.9%)、賃金不払残業があったものが637事業場(同6.3%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが1043事業場(同10.4%)。
主な業種別(監督実施事業場数が400を超えるもの)の違反率をみると、接客娯楽業が75.0%と最も高く、次いで、運輸交通業72.7%、製造業71.5%、商業68.1%、教育研究業61.7%の順となっている。
また、違反事項別では、違法な時間外労働は、接客娯楽業が53.9%と最も高く、以下、運輸交通業53.8%、製造業50.9%、商業44.2%、教育・研究業35.4%の順となっている。賃金不払残業は、接客娯楽業が10.6%と最も高く、以下、商業9.8%、建設業5.8%、製造業5.5%──と続いている。
違法な時間外労働があった事業場のうち、時間外労働の実績(法定労働時間を超える労働及び法定休日における労働)が最も長い労働者の時間数が、1ヵ月当たり80時間を超えるものが3450事業場(78.1%)、同100時間を超えるものが2419事業場(54.8%)、同150時間を超えるものが489事業場(11.1%)、同200時間を超えるものが116事業場(2.6%)だった。
また、賃金不払残業があった事業場のうち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が、1ヵ月当たり80時間を超えるものが400事業場(62.8%)だった。
次に、主な健康障害防止に関する指導状況をみると、過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したものが8683事業場(全体の86.3%)、そのうち時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したものが6060事業場(同69.8%)となっている。また、労働時間の把握方法が不適正なため指導したものが1189事業場(全体の11.8%)、そのうち時間外労働の最も長い労働者の時間数が1ヵ月当たり80時間を超えるものが566事業場(指導した事業場の47.6%)となった。