業績に応じた賞与は非正規労働者にも支給

長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現など、非正規雇用の待遇改善について検討している政府の「働き方改革実現会議」(議長・安倍首相)が同一労働同一賃金ガイドライン案をまとめた。ガイドライン案は、基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給する場合、正規雇用労働者と同一の職業経験・能力を蓄積している非正規雇用労働者には、同一の支給を求めている。また、会社の業績等への貢献に応じて支給する賞与は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の貢献が同一の場合は、同一支給すべきとした。

 ガイドライン案は、その目的を「正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現に向けて策定するもの」としている。そして、「同一労働同一賃金は、いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものである」としている。

ガイドライン案の内容は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の基本給や手当、福利厚生などの待遇約20種類について、待遇差がある場合に、問題とならない例・問題となる例を具体的に挙げている。

まず、基本給については、労働者の職業経験・能力に応じて支給する場合、正規雇用労働者(無期雇用のフルタイム労働者)と同一の職業経験・能力を蓄積している非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者。以下同じ)には、職業経験・能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならないとした。また、蓄積している職業経験・能力に一定の違いがある場合には、その相違に応じた支給を求めている。

そして、問題となる具体例として、多くの職業経験を有することを理由として、正規雇用労働者に対し、非正規雇用労働者より多額の基本給を支給しているケースであって、当該正規雇用労働者のこれまでの職業経験がその者の現在の業務に関連を持たない場合を挙げている。

また、昇給について、勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合、正規雇用労働者と同様に勤続により職業能力が向上した非正規雇用労働者には、勤続による職業能力の向上に応じた部分につき、同一の昇給を行わなければならないとしている。

賞与については、会社の業績等への貢献に応じ支給する場合、正規雇用労働者と同一の貢献である非正規雇用労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給を求めている。問題となる具体例として、正規雇用労働者には職務内容や貢献等にかかわらず全員に賞与を支給しているが、非正規雇用労働者には支給していない場合を挙げている。

時間外労働手当の割増賃金率については、正規雇用労働者の所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った非正規雇用労働者には、正規雇用労働者の所定労働時間を超えた時間については、同一の割増率等での支給を求めている。

同様に、深夜・休日労働手当に関しては、正規雇用労働者と同一の深夜・休日労働を行った非正規雇用労働者には、同一の割増率等で支給しなければならないとした。そして、問題となる具体例として、正規雇用労働者である者と同じ時間、深夜・休日労働を行ったパートタイム労働者に対して、勤務時間が短いことを理由に、深夜・休日労働手当の単価もフルタイム労働者より低くしている場合を挙げている。

政府は、ガイドライン案をもとに、関連法(労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法)の改正案を作成し、早ければ今通常国会に提出する方針。なお、ガイドライン案については、関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて、最終的に確定し、改正法の施行とともに施行する予定。