過去5年間の労災認定事案のデータベースを構築
政府はさる10月7日、過労死等防止対策推進法に基づき、「平成27年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(28年版過労死等防止対策白書)を閣議決定した。
同白書は、平成26年に成立・施行された過労死等防止対策推進法第6条の規定に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書で、今回が初の報告書となる。
白書は、同法が制定に至るまでの経緯などについて記載するとともに、過労死等の実態を解明するための調査研究など、27年度に行われた過労死等防止対策の取組みについて記載し、さらに、過労死等防止対策に取り組む民間団体の活動をコラムとして紹介している。
それによると、過労死等の実態解明のために必要な調査研究では、(独)労働安全衛生総合研究所の過労死等調査研究センターにおいて、平成22年1月から27年3月までの過去5年間の脳・心臓疾患と精神障害の労災認定事案の調査資料を収集し、データベースを構築した。現在は、データベースを用いて、労災認定等の多い職種・業種等の特性を始め、労働時間制度の状況、労働時間以外の業務の過重性などの状況について解析作業を行っている。
また、27年度は、労働・社会面からの調査研究として、企業1万社、労働者2万人を対象にアンケート調査を実施した。アンケートでは、労働時間の状況、過重労働防止のための企業の取組状況、脳・心臓疾患、精神障害による休職の状況、疲労の蓄積やストレスの状況、睡眠や家事など生活時間の状況などを調べている。28年度以降は、27年度の調査の結果を踏まえ、職種、業種等を絞って、掘り下げた調査研究を行う予定。