法違反率は過去最高を更新し84.9%に

厚生労働省は、トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対する平成27年の監督指導・送検状況をまとめた。それによると、監督を実施した3836事業場のうち、3258事業場に労働基準関係法令違反が認められた(違反率84.9%)。違反率は前年(82.9%)を2.0ポイント上回り、現在の形で取りまとめを始めた平成22年以降で最も高くなった。業種別の違反率は、トラック85.9%、バス81.4%、ハイヤー・タクシー84.4%となっており、トラックは過去最高となり、一方、ハイヤー・タクシーは過去最低となった。

 同省の取りまとめによると、平成27年に全国の労働局・労働基準監督署が、トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場を対象に監督指導を実施したのは3836事業場。そのうち、労働基準関係法令違反が認められたのは3258事業場で、違反率は84.9%となった。違反率は現在の形で集計を開始した平成22年以降、毎年上昇が続いており、27年は前年(82.9%)を2.0ポイント上回り過去最高となった。

 業種別の監督状況をみると、トラックは、監督実施事業場数が2783事業場、労働基準関係法令違反事業場数が2390事業場(違反率85.9%)、バスは、同226事業場、同184事業場(同81.4%)、ハイヤー・タクシーは、同486事業場、同410事業場(同84.4%)となっている。

 業種別の違反率の推移をみると、トラックは5年連続で上昇しており、27年は前年(83.6%)を2.3ポイント上回った。バスは前年(74.4%)を7.0ポイント上回り、平成24年(90.9%)に次いで2番目に高くなっている。これに対し、ハイヤー・タクシーは前年(87.3%)を2.9ポイント下回り過去最低となった。

 業種別の労働基準関係法令違反の主な違反事項は、トラックは、労働時間1729事業場(違反率62.1%)、割増賃金625事業場(同22.5%)、休日158事業場(同5.7%)、バスは、労働時間115事業場(同50.9%)、割増賃金52事業場(同23.0%)、休日14事業場(同6.1%)、ハイヤー・タクシーは、労働時間222事業場(同45.7%)、割増賃金135事業場(同27.8%)、休日30事業場(同6.2%)などとなっている。

 また、自動車運転者の拘束時間や運転時間などの基準を定めた告示(「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」平成元年労働省告示第7号。通称・改善基準告示)の違反が認められた事業場数は2429事業場(違反率63.3%)となっている。違反率は前年(60.7%)を2.6ポイント上回り過去最高となった。

 業種別の違反率は、トラックが69.9%、バスが54.4%、ハイヤー・タクシーが42.8%。違反率の推移をみると、トラックは前年(66.7%)を3.2ポイント上回り過去最高、バスは前年(56.1%)を1.7ポイント下回り平成25年(47.9%)に次いで2番目に低く、ハイヤー・タクシーは前年(41.0%)を1.8ポイント上回っている。

 業種別の改善基準告示違反の主な違反事項は、トラックは、最大拘束時間1544事業場(違反率55.5%)、総拘束時間1254事業場(同45.1%)、休息期間1216事業場(同43.7%)、連続運転時間947事業場(同34.0%)、最大運転時間599事業場(同21.5%)、バスは、最大拘束時間88事業場(同38.9%)、総拘束時間73事業場(同32.3%)、休息期間37事業場(同16.4%)、連続運転時間29事業場(同12.8%)、最大運転時間18事業場(同8.0%)、ハイヤー・タクシーは、最大拘束時間160事業場(同32.9%)、総拘束時間115事業場(同23.7%)、休息期間57事業場(同11.7%)などとなっている。

 次に、送検状況をみると、労働基準関係法令違反により送検した件数は60件となっており、前年(56件)と比べ4件増加している。

 業種別にみた送検件数は、トラックが52件(前年40件)、バスが1件(同3件)、ハイヤー・タクシーが4件(同6件)となっている。