47都道府県で21円から25円の引上げ

平成28年度の地域別最低賃金の改定審議が終了し、47都道府県で21円から25円の引上げが行われた。引上げ額をみると、最も高いのは、埼玉、東京、大阪など7都府県の25円、次いで、茨城、富山、京都など9府県が24円となっており、全国加重平均で25円(27年度18円)の引上げとなった。全国加重平均額25円の引上げは、最低賃金額が時間額のみで示されるようになった平成14年度以降、最大の引上げとなる。改定後の最低賃金の最高額は東京の932円、最低額は宮崎と沖縄の714円となっている。

  •  最低賃金は、法(最低賃金法)によって、労働者を使用する場合の賃金の最低額を保障するもの。これは、すべての使用者と労働者に適用される。最低賃金には、地域別最低賃金(都道府県単位)と特定最低賃金の2種類がある。

    地域別最低賃金の額の改定に当たっては、引上げの目安を中央最低賃金審議会が各都道府県の地方最低賃金審議会に示す方式がとられている。今年度は、6月14日に厚生労働省が中央最低賃金審議会に対して、28年度の地域別最低賃金改定の目安を諮問し、同審議会は7月28日、それに対する答申を行った。答申内容は、各都道府県のランクごとの引上げ額をAランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円とするというもの。

    各都道府県の地方最低賃金審議会は、この答申内容や地域の賃金実態などを踏まえ最低賃金改定の審議を行い、8月23日までに全都道府県で改定額の答申が出揃った。それによると、引上げ額は21円から25円となっており、全国加重平均で25円(27年度18円)となった。

    改定後の地域別最低賃金額をみると、最も高いのは東京の932円、次いで、神奈川930円、大阪883円、埼玉と愛知が845円の順となっている。逆に、最も低いのは宮崎と沖縄の714円、次いで、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島が715円(全国加重平均額は823円)。

    引上げ額では、最も高いのは埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫が25円、次いで、茨城、栃木、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、広島が24円となっており、ほかでは、香川が23円、16道県が22円、14県が21円となっている。また、引上げ額が目安を上回ったのは、埼玉、兵庫、鳥取、島根、香川、高知の6県(いずれも1円増)で、他の41都道府県は目安と同額の引上げとなった。

    なお、改定後の最低賃金は、各都道府県労働局での関係労使からの異議申立に関する手続を経たうえで、都道府県労働局長の決定により、10月上旬から中旬にかけて順次発効する予定。発効予定日が最も早いのは、北海道、福島、東京、大阪、福岡など33都道府県の10月1日、最も遅い青森が10月20日となっている(下表の発効予定年月日は、関係労使からの異議申出に係る調査審議がない場合の最短のもの)。