労働政策の企画から決定までの過程を検討

厚生労働省はこのほど、今後の労働政策の推進にあたっては、これまで以上に機動的な政策決定を行うことが不可欠であることから、働き方に関する政策決定プロセスについて検討する「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」(座長・小峰隆夫法政大学大学院政策創造研究科教授)をスタートさせた。同有識者会議では、労働政策に関する企画・立案などのあり方いついて検討を行うほか、労働政策の決定に大きな役割を果たしている労働政策審議会の機能・運営などのあり方についても検討することとしている。

  •  同有識者会議設置の背景には、規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船株式会社取締役・相談役)の「規制改革実施計画のフォローアップ結果について」(平成28年5月19日公表)において、今後の予定(平成28年3月31日時点)として、「働き方の多様化等により的確に対応した政策作りのため、労働政策審議会等の在り方について検討を行う」とされたこと、また、自由民主党多様な働き方を支援する勉強会からの提言(平成28年2月23日「第190国会における『労働政策審議会に関する提言』」で、労働政策審議会の運営を見直すべきとの指摘がなされたことなどがある。

    労働政策の推進にあたっては、公労使の三者で構成される労働政策審議会が重要な役割を果たしているが、近年、グローバル化・IT化の進展、少子高齢化等に伴い、産業構造・就業構造の変化や働き方の多様化が進んでいる中、これらに対応するためには、機動的な政策決定が必要となってきている。

    労働政策審議会を中心とした現在の政策決定の一般的な流れは、雇用・労働対策に関する専門家による研究結果が報告された場合には、労働政策審議会の各分科会・部会においてその報告を基にした議論が行われ、必要な制度改正を厚生労働大臣に建議する。そして、制度改正(法律や規則の改正など)案を厚生労大臣が同審議会に諮問し、同審議会の答申を得た後、法改正等を行うことになっている。

    先の自民党の勉強会の提言では、①労働政策審議会(本審議会、分科会、部会)の委員の5割を地方人材にすべき、②労働政策審議会の各会議をテレビ会議化すべき、③労使代表委員については、現行の労働構造・産業構造と比して著しくバラスを欠くことがないよう見直し、サービス業や非正規雇用者を多く雇用する業界の代表、昨今の労働問題に関与の深い業種などを考慮し、我が国の労使の代表たるに応しい委員を選任すべき──などが指摘された。

    これらを踏まえ同有識者会議では、①労働政策に関する企画・立案などのあり方、②労働政策審議会の機能、構成(委員、分科会・部会など)、運営、事後評価などのあり方──の2つをテーマに検討を進め、早ければ年内に結論をまとめる見通し。