労働時間の違反の背景に「下請たたき」ある事案も

厚生労働省は、平成20年12月から実施している中小企業における労働条件の確保・改善に関する公正取引委員会・経済産業省との通報制度の対象事案を拡充した。

この制度は、下請取引の適正化は、労働者の労働条件の確保・改善に資すること等に鑑み導入されたもの。労働基準監督機関による臨検監督において、労働基準法第24条(賃金の支払い)違反等が認められ、その違反の背景に親事業者による下請法違反行為の存在が疑われる場合、公正取引委員会等に通報するもの。

今回の拡充では、対象となる労働基準関係法令違反に労働時間に関する違反を追加し、また、違反の背景に特定荷主による「下請たたき」に当たる行為の存在が疑われる場合も対象とした。

これにより、労働基準監督機関において、事業場に対する監督指導を実施した結果、労働基準法第23条(金品の返還)、第24条、第32条(労働時間)、第35条(休日)、第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)、最低賃金法第4条(最低賃金の効力)──の違反が認められ(軽微な法違反を除く)、当該違反の背景に親事業者による下請代金の支払遅延など下請法第4条の違反行為に該当する行為、または、特定荷主による物流特殊指定に該当する独占禁止法第19条(不公正な取引方法の禁止)の違反行為に該当する行為(いわゆる「下請たたき」に当たる行為)が存在しているおそれのある事案が通報対象となる。

なお、同制度による通報は、下請事業者等が通報を希望した場合に、秘密保持に万全を期したうえで実施することになっている。