医療・福祉、運輸業などの団体を重点指導
厚生労働省はこのほど、改正労働安全衛生法によるストレスチェック制度が施行されたことを踏まえ、当面のメンタルヘルス対策の推進について都道府県労働局に通達した。それによると、第1に、あらゆる機会を捉えてストレスチェック制度の周知を図るとともに、同制度を含めたメンタルヘルス対策に関する国の支援事業について情報提供を行う。また、精神障害等による労災請求事案が多い医療・福祉、運輸業、卸売業・小売業などを重点業種として業界団体に対し自主的取組みを指導することとしている。
- 同省はこれまで、職場におけるメンタルヘルス対策について、①事業場に対する指導等の実施、②業界団体等の自主的活動の促進、③支援事業の活用促進──を中心に施策を展開している。また、平成25年度から29年度までを計画期間とした第12次労働災害防止計画において、「平成29年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする」との目標を掲げ、重点的な取組みを進めている。
こうした中、改正労働安全衛生法によるストレスチェック制度が昨年12月から施行され、また、昨年7月には過労死等防止対策推進法(平成26年11月1日施行)に基づく「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定された。
これらを踏まえ同省は、当面のメンタルヘルス対策の進め方を示した通達を策定した。その主な内容は、当面は、ストレスチェック制度の履行確保をメンタルヘルス対策の最重点課題とし、同制度の導入によって事業場のメンタルヘルス対策が進むよう取り組むことを基本方針に据えている。
具体的には、あらゆる機会を捉えてストレスチェック制度の周知を図り、また、同制度の内容や実施方法に関する集団指導及び個別指導を実施する。なお、これらの指導に際しては、具体的な進め方に関して、「ストレスチェック指針」(平成27年心理的な負担の程度を把握するための検査等指針公示第1号)に基づき助言・指導を行う。加えて、事業場の実態やニーズに応じ、ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策の全般的な取組み方法について、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法を定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年健康保持増進のための指針公示第3号)に基づき助言・指導することとしている。
次に、集団に対する自主的活動等の促進として、業界団体・地域団体・労働団体などに対して、メンタルヘルス対策に関する教育研修の合同実施、ストレスチェック制度の好事例の収集などを行うよう働きかける。
また、精神障害等による労災請求事案が多い医療・福祉、運輸業、卸売業・小売業、情報通信業などの業種を重点として、業界団体に対して自主的な取組みを行うよう指導するとしている。