処遇改善図る施設の介護職員の給与約1万3000円増

厚生労働省は、「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果」をまとめた。この調査は、「介護職員処遇改善加算」を取得した施設・事業所における介護職員(月給・常勤者)の平成27年9月と26年9月の給与等を調査したもの。1万560ヵ所を対象に実施し、有効回答のあった7559ヵ所について集計している。

「介護職員処遇改善加算」は、平成23年度まで実施されていた「介護職員処遇改善交付金」に変わって24年度に新設されたもので、離職率の高い介護職員の賃金改善に充てることを目的としている。介護保険が適用される介護サービスにおいて、サービスを提供した施設・事業所に支払われる「介護報酬」に加算として組み込まれ、最も高い要件(介護職員処遇改善加算Iを満たした場合)の加算は、介護職員1人当たり月2万7000円相当となっている。

調査結果をみると、介護職員処遇改善加算I(①職位、職責、職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備、②資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修機会を確保、③賃金改善を除く職場環境等の改善──のいずれも実施)を取得(届出)した事業所における「介護職員」の27年9月の平均給与額は28万7420円となっており、26年9月(27万4250円)と比べ1万3170円増加している。

なお、介護職員処遇改善加算⑴を取得(届出)した事業所における介護職員以外の職種の平均給与額は、「看護職員」37万5130円(対前年比6950円増)、「生活相談員・支援相談員」32万140円(同9370円増)、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は能訓練指導員」34万8900円(同8910円増)、「介護支援専門員」34万2760円(同9870円増)、「事務職員」31万1820円(同7180円増)、「調理員」25万4910円(同3340円増)、「管理栄養士・栄養士」30万8310円(同7860円増)となった。

また、職種別の平均基本給額は、「介護職員」17万7370円(対前年比2950円増)、「看護職員」23万5970円(同2150円増)、「生活相談員・支援相談員」21万420円(同4040円増)、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員」22万7920円(同2910円増)、「介護支援専門員」21万4550円(同2940円増)、「事務職員」20万9760円(同2850円増)、「調理員」17万8720円(同1540増)、「管理栄養士・栄養士」20万7270円(同2680円増)となっている。

次に、介護職員処遇改善加算Iを取得(届出)した事業所における「介護職員」の平均給与額を施設・事業所の法人別にみると、「地方公共団体」33万940円(対前年比1万6150円増)、「社会福祉協議会」27万660円(同6070円増)、「社会福祉法人」30万840円(同1万3120円増)、「医療法人」28万5120円(同1万3280円増)、「営利法人」26万4410円(同1万4420円増)などとなった。

また、給与等の引き上げ以外の処遇改善状況をみると(複数回答)、資質の向上においては、「働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修等の受講支援」が66.7%と最も高い。労働環境・処遇の改善においては、「事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化」(79.3%)、「ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善」(78.4%)、「健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化、職員休憩室・分煙スペース等の整備」(75.1%)などが高い。