建設業の退職金不支給期間を掛金12月未満に短縮
厚生労働省は、中小企業退職金共済制度(中退共制度)の利便性向上のため、特定業種退職金共済制度のうち、建設業については、退職金の不支給期間を12月未満に短縮するなどの制度改正を行い、この4月1日から実施した。
中退共制度は、中小企業退職金共済法に基づく制度で、独力では退職金制度を設けることが困難な中小企業について、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金を支給するもの。同制度には、主に常用労働者を対象とする「一般の中小企業退職金共済制度」と、厚生労働大臣が指定した特定の業種に期間を定めて雇用される労働者(期間雇用者)を対象とする「特定業種退職金共済制度」(特退共制度)がある。現在、特退共済制度には、建設業、清酒製造業、林業の3種類ある。
特退共制度では、当該業種の中小企業者が、制度を運用している(独)勤労者退職金共済機構と退職金共済契約を結び、中小企業者が期間雇用者の雇用日数に応じ掛金(全額事業主負担)を納付する。退職金は、労働者が業界から引退したとき、無期契約に転換したとき、55歳に達したとき等に、直接その労働者に支払われる。
また、特退共制度においては、原則として掛金納付月数(掛金の納付があったすべての日数を政令で定める方法により月数に換算)が24月未満の場合は退職金は支払われない。ただし、退職金不支給期間は、特定業種のうち厚生労働大臣が指定する業種にあっては、一般の中退共制度と同じ「掛金納付月数12月未満」とされており、このほど、その厚生労働大臣が指定する業種として建設業を定める告示が制定され、平成28年4月1日から適用されている。
また、これに伴い、特退共制度における退職金の額を規定している中小企業退職金共済法施行令が改正され、建設業特定退職金共済制度における掛金納付月数が12月~23月の場合は、一般の中退共制度と同様に、納付された掛金の総額を下回る金額とされた。
さらに、これらの制度改正とともに、建設業退職金共済制度における退職金の予定運用利回りを2.7%から3.0%に引き上げる政令改正を行っている(これら改正政令の施行期日はいずれも平成28年4月1日)。