是正対象労働者数は過去最多の20万人超に

厚生労働省がまとめた監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成26年度)によると、対象労働者数は20万人を超え過去最多となった。それによると、26年度の監督指導により、不払いになっていた割増賃金を是正支払い(1企業100万円以上)した企業数は1329企業、支払われた割増賃金の合計額は142億4576万円、対象労働者数は20万3507人となっている。25年度と比べ、是正企業数は減少したが、是正支払額と対象労働者数は増加しており、対象労働者数は現在の集計方法による平成15年度以降で最も多くなっている。

  •  今回まとめられたのは、全国の労働基準監督署が、平成26年4月から27年3月までの1年間に、定期監督及び申告に基づく監督等を行い、その是正を指導した結果、不払いとなっていた割増賃金が支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上の事案。

    それによると、是正企業数は1329企業(前年度比88企業の減少)、対象労働者数は20万3507人(同8万8627人の増加)、支払われた割増賃金の合計額は142億4576万円(同19億378万円の増加)となっている。支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり1072万円、労働者1人当たり7万円となっている。企業数は2年ぶりの減少、対象労働者数と是正支払額は2年連続の増加となる。なお、対象労働者数は、現在の集計方法による平成15年度以降で最多となった(2番目に多いのは15年度の19万4653人)。

    業種別の状況をみると、企業数が最も多いのは製造業の327企業(全体の24.6%)、次いで、商業285企業(同21.4%)、その他の事業152企業(同11.4%)、保健衛生業147企業(同11.1%)、建設業107企業(同8.1%)の順となっている。

    対象労働者数が最も多いのは接客娯楽業の10万477人(全体の49.4%)、次いで、製造業3万471人(同15.0%)、商業2万5610人(同12.6%)、保健衛生業1万5932人(同7.8%)、その他の事業1万4780人(同7.3%)の順となっている。

    是正支払額が最も多いのは製造業の34億6131万円(全体の24.3%)、次いで、商業33億5714万円(同23.6%)、その他の事業23億9927万円(同16.8%)、金融・広告業17億1932万円(同12.1%)、保健衛生業11億2594万円(同7.9%)の順となっている。

    次に、1企業当たり1000万円以上の事案についてみると、是正企業数は196企業(前年度比5企業の減少)、対象労働者数は15万6740人(同9万6691人の増加)、支払われた割増賃金の合計額は109億7010万円(同22億3868万円の増加)となっている。企業数は3年ぶりの減少、対象労働者数は3年連続の増加、是正支払額は2年連続の増加となっている。業種別にみると、企業数が最も多いのは製造業(47企業)、対象労働者数が最も多いのは接客娯楽業(9万8887人)、是正支払額が最も多いのは商業(26億7008万円)となっている。