セクハラを経験した労働者割合は28.7%

(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)は、「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査」の結果をまとめた。調査は、従業員10人以上の民営企業6500社及び当該企業に雇用される25~44歳の女性労働者を対象とした調査票調査と、民間の調査会社にモニター登録している25~44歳の女性雇用労働者を対象としたウェブモニター調査により2015年9月から10月にかけて実施しており、企業調査は1711社、個人調査は7154人(調査票調査4654人、ウェブモニター調査2500人)について集計している。

調査結果をみると、いわゆるマタハラなど妊娠等を理由とする不利益取扱い等を受けたことがある労働者割合は21.4%となっており、雇用形態別では、「正社員」22.3%、「契約社員等」13.2%、「パートタイマー」6.3%、「派遣労働者」45.3%となっている。妊娠等を理由とする不利益取扱い等の態様としては(複数回答)、「『休むなんて迷惑だ』『辞めたら?』など、妊娠・出産・育児関連の権利を主張しづらくなるような発言をされた」が47.0%と最も多く、以下、妊娠等を理由とする不利益取扱い等を「示唆するような発言をされた」21.1%、「賞与等における不利益な算定」18.4%、「雇い止め」18.0%、「解雇」16.6%と続いている。

妊娠等を理由とする不利益取扱い等を防止するための対策に取り組んでいる企業割合は51.1%となっており、取り組んでいる事項をみると(複数回答)、「相談・苦情対応窓口の設置」が23.4%と最も多く、次いで、「つわり等により不就労が生じた妊婦がいる職場に対する業務上の応援」14.0%、「管理職に対し、妊娠等を理由とする不利益取扱いが違法行為であること等について、研修などによる周知」11.1%の順となっている。

次に、セクシュアルハラスメント(以下「セクハラ」)の状況をみると、セクハラを経験した労働者割合は28.7%となっており、雇用形態別では、「正社員」34.7%、「契約社員等」24.6%、「パートタイマー」17.8%、「派遣労働者」20.9%となっている。セクハラの態様別にみると(複数回答)、「容姿や年齢、身体的特徴について話題にされた」が53.9%と最も多く、次いで、「不必要に身体に触られた」40.1%、「性的な話や、質問をされた」38.2%の順となっている。

セクハラを受けた者がとった対応としては、「がまんした、特に何もしなかった」が63.4%と最も多く、次いで、「会社の同僚に相談した」14.4%、「上司に相談した」10.4%、「加害者に抗議した」10.2%、「家族に相談した」7.4%、「会社の相談窓口、担当者に相談した」3.1%の順となっている。

セクハラの防止対策に取り組んでいる企業割合は59.2%となっており、取り組んでいる事項としては(複数回答)、「相談・苦情対応窓口の設置」が36.5%と最も多く、次いで、「セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針の明確化」29.6%、「セクシュアルハラスメント行為者に対する懲戒等の対処方針の文書化(就業規則等)」25.7%の順となっている。