第1子出産前後の継続就業率60%目指す

厚生労働省は、少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが活躍できる「一億総活躍」社会を実現するための基本政策を取りまとめた。それによると、(1)全産業の生産性革命、(2)希望出生率1.8、(3)介護離職ゼロ、(4)生涯現役社会 ──の実現に向けて、政策を総動員するとしている。具体的対策では、出産・育児による不本意退職を解消するため、育児休業と保育の切れ目ない支援体制を構築し、継続就業を支援する。そして、第1子出産前後の女性の継続就業率を2020年代中に60%程度(2010年=38%)とする目標を掲げている。

  •  安倍首相が掲げる「一億総活躍社会」の 実現は、我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、「希望を生み出す強い経済」、「夢を紡ぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新三本の矢」の 実現を目的としたもの。

    同省は、「新三本の矢」の「夢を紡ぐ子育て支援」や「安心につながる社会保障」に掲げられている「介護離職者をゼロにする」 及び「生涯現役社会の構築」については、 同省が先頭に立って取り組むべき課題であることから、これらを中心に対策の基本的な方向性をまとめている。

    まず、対策の基本姿勢として、「若者・高齢者、女性・男性、難病や障害のある方、 生活困窮者など、誰もが社会の一員として、 家庭や職場、そして地域で、それぞれ自分らしく活躍できるチャンスが得られるようにしていく」ために、(1)全産業の生産性革命、(2)希望出生率1.8、(3)介護離職ゼロ、(4) 生涯現役社会──の実現に向けて、政策を総動員して取り組んでいくとしている。

    主な内容は、第二の矢「夢を紡ぐ子育て支援」に関しては、①「働き方改革」の更なる推進による仕事と生活の調和と、②すべての子どもと子育てをきめ細やかに支援する社会的基盤の構築──の2つの取組みを「車の両輪」として進める。

    具体的には、①非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善、②被用者保険の適用拡大(年金法改正)、③育児休業制度の見直し、④待機児童解消加速化プランの前倒し(保育の受け皿を40万人分から50万人分に拡大)──などを重点に取り組むとしている。 これらの施策により、2020年代中に、25〜44歳の女性の就業率を80%程度(2014年=70.8%)、第1子出産前後の女性の継続就業率を60%程度(2010年=38.0%)とする目標を掲げている。

    第三の矢「安心につながる社会保障」に関しては、「介護離職ゼロ」を実現するため、在宅・施設サービスの整備を充実・加速化させ、2020年代初頭までの利用者の増加目標を現在見込んでいる増加分(34万人) に加え6万人上乗せし40万人にする。

    また、介護サービスを活用するための家族の柔軟な働き方を確保するため、①介護休業の分割取得を可能とする介護休業制度の見直し、給付率引上げに向けた取組み、 ②仕事と介護が両立しやすい職場環境に向けた支援モデルの普及・展開、企業への導入支援──などを打ち出している。