地域別最賃の1.15倍未満の労働者割合は13.4%

(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)は、賃金が最低賃金に近い労働者(最低賃金近傍労働者)の実態に関する分析結果をまとめた。これは、地域別最低賃金の引上げに関する現在の目安制度の見直しについて昨年6月から検討している「中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会」の検討に資するため、厚生労働省の要請により同機構が、「賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」をもとに特別集計したもの。

それによると、地域別最低賃金額の1.15倍未満の賃金(以下「最低賃金近傍」)の労働者の割合は全国で13.4%(平成26年)となっており、21年(9.2%)と比べ4.2ポイント増加している。これを都道府県別にみると、労働者に占める最低賃金近傍労働者の割合が最も多いのは沖縄で、以下、北海道、神奈川、埼玉、青森の順となっている。最低賃金近傍の一般労働者(「短時間労働者」以外の者をいう)の割合は全国で4.7%(26年)となっており、21年(3.6%)と比べ1.1ポイント増加している。都道府県別では、一般労働者に占める最低賃金近傍一般労働者の割合が最も多いのは沖縄で、以下、青森、北海道、秋田、長崎の順となっている。また、最低賃金近傍の一般労働者数が最も多いのは東京で、以下、北海道、大阪、神奈川の順となっている。

次に、短時間労働者(同一事業所の一般労働者より1日の所定労働時間が短いまたは1日の所定労働時間が同じでも1週の所定労働日数が少ない労働者をいう)についてみると、最低賃金近傍の短時間労働者の割合は全国で39.2%(26年)となっており、21年(27.9%)と比べ11.3ポイント増加している。都道府県別では、短時間労働者に占める最低賃金近傍短時間労働者の割合が最も多いのは神奈川で、以下、沖縄、北海道、大阪の順となっている。また、最低賃金近傍短時間労働者数が最も多いのは東京で、以下、神奈川、大阪、愛知の順となっている。

産業別にみた最低賃金近傍労働者の状況は、労働者数が最も多いのは、「卸売業、小売業」、次いで、「製造業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「運輸業、郵便業」の順となっている。また、労働者に占める最低賃金近傍労働者の割合が最も多いのは、「宿泊業、飲食サービス業」(39.9%)、次いで、「生活関連サービス業、娯楽業」(23.1%)、「卸売業、小売業」(22.7%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(16.0%)、「不動産業、物品賃貸業」(15.9%)の順となっている。