前1年の各月の平均残業時間の把握必要

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定等に係る関係省令などの内容が決まった。省令では、一般事業主行動計画を策定するときの把握事項として、①採用者に占める女性比率、②男女の平均勤続年数の差異、③各月ごとの労働者の平均残業時間等の労働時間、④管理職に占める女性比率──の必須把握4項目及び必要に応じ把握する21項目を定めている。また、事業主が選択して行う情報の公表項目として、係長級にある者に占める女性比率、月当たりの労働者の平均残業時間──など14項目を挙げている。

  •  先の通常国会で成立した女性活躍推進法は、労働者数301人以上の企業に対して、女性の活躍推進に向けた行動計画(一般事業主行動計画)の策定・届出を義務付けている。同法は、今年9月4日に一部が施行されており、行動計画の策定等に関する規定の施行日は来年4月1日となっている。

    行動計画には、(1)計画期間、(2)女性の職業生活における活躍の推進に関する取組みの実施により達成しようとする目標(数値目標)、(3)実施しようとする取組みの内容及びその実施時期──を定めることが必要(法第8条第2項)。

    そして、行動計画を策定・変更するときには、厚生労働省令の定めるところにより、自社の女性の活躍状況を把握し、改善すべき事情を分析したうえで、その結果を勘案してこれを定めることとされている(法第8条第3項)。

    省令では、女性の活躍状況の把握事項として、必ず把握すべき4項目(必須把握項目)、必要に応じ把握する21項目(任意把握項目)を定めている。

    必須把握項目は、①採用者に占める女性比率、②男女の平均勤続年数の差異、③各月ごとの労働者の平均残業時間等の労働時間、④管理職に占める女性比率──となっている。なお、これらは直近の事業年度におけるものを把握し、また、①と②の項目については、雇用管理区分(職種、資格、雇用形態、就業形態などの労働者の区分で、当該区分に属している労働者について他の区分に属している労働者とは異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているもの)ごとに把握することが必要となる。

    また、任意把握項目は、採用における男女別の競争倍率、男女別の配置の状況、男女別の育児休業取得率及び平均取得期間、管理職の各月ごとの労働時間等の勤務状況、男女の賃金の差異──など21項目となっている(いずれも直近の事業年度におけるもの。項目により雇用管理区分ごとに把握することが必要となるものがある)。

    このほか、法第8条第4項の規定による行動計画の労働者への周知方法として、①事業所の見やすい場所への掲示、②書面の交付、③電子メールでの送信──を例示している。

    次に、省令では、優れた取組みを行う企業の認定の基準、女性の活躍に関する情報の公表の項目などが定められている。

    同法は、行動計画に定めた女性の活躍の推進に関する企業の取組みを促進するため、厚生労働大臣は、行動計画の策定・届出を行った企業のうち、その取組みの実施状況等が優良であるなど一定の基準に適合する企業を認定する仕組みを設けている(法第9条)。

    その認定基準について省令は、女性の職業生活における活躍状況に関する実績に係る基準などを定め、さらに、実績に係る基準を満たす項目の個数に応じて認定を3段階に設定する形としている。

    また、法第16条に基づく女性の職業選択に資する情報の公表(労働者数301人以上の企業に義務付け)に関しては、事業主が選択して行う情報の公表項目として、採用者に占める女性比率、採用における男女別の競争倍率、労働者に占める女性比率、男女の平均勤続年数の差異、1ヵ月当たりの労働者の平均残業時間、係長級にある者に占める女性比率、管理職に占める女性比率──など14項目を挙げている。

    さらに、行動計画の策定に関する指針案(一般事業主行動計画に係る部分)では、行動計画の計画期間の設定について、同法が10年間の時限立法であることから、平成28年度から37年度までの10年間を、各事業主の実情に応じておおむね2~5年間に区切ることが望ましいとしている。

    また、行動計画で定める数値目標の設定に関しては、状況把握・課題分析の結果、最も大きな課題と考えられるものから優先的に設定し、できる限り積極的に複数の課題に対応する数値目標の設定を行うことが効果的としている。そして、数値目標は、実数、割合、倍数等数値を用いるものであればいずれでもよいとしている。

    なお、省令は10月中にも公布され、その後、指針が定められる予定となっている。