一定の法違反企業に新卒求人を不受理の特例創設
青少年の雇用の促進を図るため、青少年の職場への定着促進の取組みが優良である事業主を認定する仕組みを設けることなどを内容とした「若者雇用促進法」が、去る9月11日成立した。同法は、(1)勤労青少年福祉法の一部改正、(2)職業安定法の一部改正、(3)職業能力開発促進法の一部改正──を主な内容としている。
法案(「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案」)は、今年3月17日に閣議決定され、同日国会に提出された。国会での審議は参議院で始まり、4月16日の同院厚生労働委員会で原案通り可決、翌17日の本会議で同様に可決し、衆議院へ送られた。衆議院では、9月4日の同院厚生労働委員会で原案通り可決、同11日の本会議で同様に可決、成立した。
主な内容は、勤労青少年福祉法の改正では、法律の題名を「青少年の雇用の促進等に関する法律」に改め、青少年の雇用対策に係る国、地方公共団体、事業主その他の関係者の責務に係る規定を整備するとともに、関係者相互の連携等に関する規定を設けている。また、公共職業安定所は、労働に関する法律の規定に違反する行為に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられた求人者について、新規学校卒業者の求人申込を受理しないことができるとしている(職業安定法第5条の5の特例)。
このほか、新規学校卒業者に係る募集または求人申込みを行う事業主に、応募者等に対して当該事業所における青少年の募集及び採用の状況等に関する情報の提供を義務付けている。さらに、青少年の職場への定着促進に関する取組み等の実施状況が優良であること等の基準に適合する事業主を厚生労働大臣が認定する仕組みを設けている。
職業安定法の改正では、公共職業安定所が学校と協力して行う職業指導及び職業紹介、学校が届出により行う無料職業紹介事業の対象者に、中退者を追加している。
職業能力開発促進法の改正では、国は、職務の経歴、職業能力等を明らかにする書面の様式を定め、その普及に努めることとし(ジョブ・カードの普及・促進)、また、キャリアコンサルタントを登録制とし、名称独占を付与するなどとしている。
なお、改正法の施行期日は、一定の労働関係法令違反の求人者に対する新規学校卒業者の求人の不受理、新規学校卒業者の募集を行う企業に対する情報提供の義務化については平成28年3月1日、キャリアコンサルタントの登録制の創設については平成28年4月1日、その他については平成27年10月1日となっている。