47都道府県で16円から20円の引上げ
平成27年度の地域別最低賃金の改定審議が終了し、47都道府県で16円から20円の引上げが行われた。引上げ額をみると、最も高いのは愛知と大阪の20円、次いで、千葉、東京、広島がともに19円となっており、全国加重平均で18円(前年度16円)の引上げとなった。全国加重平均額18円の引上げは、最低賃金額が時間額のみで示されるようになった平成14年度以降、最大の引上げとなる。改定後の最低賃金の最高額は東京の907円、最低額は鳥取、高知、宮崎、沖縄の693円となっている(2ページに一覧表掲載)。
- 最低賃金は、法(最低賃金法)によって、労働者を使用する場合の賃金の最低額を保障するもの。これは、すべての使用者と労働者に適用される。最低賃金には、地域別最低賃金(都道府県単位)と特定最低賃金の2種類がある。
地域別最低賃金の額の改定に当たっては、引上げの目安を中央最低賃金審議会が各都道府県の地方最低賃金審議会に示す方式がとられている。今年度は、7月1日に厚生労働省が中央最低賃金審議会に対して、27年度の地域別最低賃金改定の目安を諮問し、同審議会は同30日、それに対する答申を行った。答申内容は、各都道府県のランクごとの引上げ額をAランク19円、Bランク18円、CランクとDランクは16円とするというもの(詳細は本誌第1865号参照)。
各都道府県の地方最低賃金審議会は、この答申内容や地域の賃金実態などを踏まえ最低賃金改定の審議を行い、8月24日までに全都道府県で改定額の答申が出揃った。
それによると、引上げ額は16円から20円となっており、全国加重平均で18円(26年度は16円)となった。
改定後の地域別最低賃金額をみると、最も高いのは東京の907円、次いで、神奈川905円、大阪858円、埼玉と愛知が820円の順となっている。逆に、最も低いのは鳥取、高知、宮崎、沖縄の4県が693円、次いで、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島の5県が694円(全国加重平均額は798円)。
引上げ額では、最も高いのは愛知と大阪の20円、次いで、千葉、東京、広島の3都県が19円となっており、ほかでは、11府県が18円、7県が17円、24道県が16円となっている。また、引上げ額が目安を上回ったのは岩手、石川、愛知、大阪、島根、広島、香川、長崎など10府県(いずれも1円増)。一方、神奈川は目安を1円下回る引上げとなり、他の36都道府県は目安と同額の引上げとなった。
なお、改定後の最低賃金は、各都道府県労働局での関係労使からの異議申立に関する手続を経たうえで、都道府県労働局長の決定により、10月上旬から中旬にかけて順次発効する予定。発効予定日が最も早いのは栃木、埼玉、東京、大阪、兵庫など18都府県の10月1日、最も遅い青森と高知が10月18日となっている(下表の発効予定年月日は、関係労使からの異議申出に係る調査審議がない場合の最短のもの)。