保険料収納率は20年ぶり高水準の98.3%
厚生労働省はこのほど、平成26年度の労働保険適用徴収状況をまとめた。それによると、労働保険料の収納率は98.3%で前年度(98.0%)を0.3ポイント上回り、平成5年度以来の高水準となった。収納率を労災保険と雇用保険の別でみると、労災保険が97.8%、雇用保険が98.5%となっており、ともに最近20年間で最も高くなっている。また、労働保険料の徴収決定額及び収納額は、いずれも3年ぶりに3兆円台を回復している。なお、労働保険の適用事業場数は306万2023事業場で過去最多となっている。
- まず、労働保険の適用状況をみると、26年度末の適用事業場数は306万2023事業場となっており、25年度末(301万6338事業場)と比べ4万5685事業場(1.5%)増加している。これは、平成12年度の306万1445事業場を上回る過去最多となっている。
適用事業場数を労災保険と雇用保険の別でみると、労災保険が270万7702事業場、雇用保険が208万3364事業場となっている。前年度と比べると、労災保険は3万792事業場(1.2%)の増加、雇用保険は3万4081事業場(1.7%)の増加となった。
次に、労働保険料の徴収状況をみると、徴収決定額(事業主が納付しなければならない保険料の額)は3兆902億6453万円(万円未満は四捨五入。以下同じ)、収納額(事業主が納付した額)は3兆379億6886万円となっている。前年度と比べると、徴収決定額は947億1794万円(3.2%)の増加、収納額は1027億2556万円(3.5%)の増加となった。そして、収納率(徴収決定額に占める収納額の割合)は98.3%となり、前年度(98.0%)を0.3ポイント上回った。収納率が前年度を上回ったのは2年連続で、平成5年度以来の高水準となった。
徴収決定額・収納額を労災保険と雇用保険の別でみると、労災保険は、徴収決定額が8619億4900万円(対前年度比385億3875万円増)、収納額が8433億9199万円(同410億585万円増)、雇用保険は、徴収決定額が2兆2283億1554万円(同561億7921万円増)、収納額が2兆1945億7687万円(同617億1971万円増)となった。
また、労災保険と雇用保険の別でみた収納率は、労災保険が97.8%(前年度97.4%)、雇用保険が98.5%(同98.2%)となっており、前年度よりそれぞれ0.4ポイント、0.3ポイント上昇し、いずれも平成7年度以降では最も高くなっている。
同省では、労働保険料の収納率向上のため、労働保険料の算定基礎となる労働者の賃金についての申告内容に疑義のある事業場などに対して労働保険料等算定基礎調査(26年度4万9476件)を実施し、適正な保険料額の決定に取り組んでいる。また、法定納期限までに保険料が納付されない場合には、督促状を送付し、電話や直接事業場を訪問するなどして納付督励(26年度43万9019件)を行っている。さらに、複数年にわたって滞納を繰り返している事業主や多額の労働保険料を滞納している事業主に対しては、差押え(26年度7336件)を実施している。
なお、同省では、収納率が向上した要因について、従来からのこうした取組みに加え、「景気が回復していることが大きいと考えられる」(労働基準局労働保険徴収課)と分析している。