法違反率は2年ぶりに上昇し69.4%

厚生労働省は、平成26年の定期監督等実施状況・法違反状況をまとめた。それによると、労働基準法、労働安全衛生法などの労働関係法令違反の事業場割合(法違反率)は69.4%で、前年(68.0%)と比べ1.4ポイント上昇した。法違反率が前年を上回ったのは2年ぶり。業種別にみた法違反率は、最も高いのは映画・演劇業の79.2%、次いで、運輸交通業、保健衛生業、接客娯楽業がともに75.3%となっている。また、労働基準法関係の違反内容で最も多いのは労働時間、次いで、割増賃金、労働条件の明示──の順となっている。

  •  同省のまとめによれば、平成26年に定期監督を実施した事業場数は12万9881事業場(前年14万499事業場)で、そのうち労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの法令違反が認められた事業場数は9万151事業場(同9万5550事業場)となっている。

    法違反率は前年(68.0%)を1.4ポイント上回る69.4%となり、2年ぶりの上昇となった。

    法違反率を業種別にみると、最も高いのは映画・演劇業の79.2%、以下、運輸交通業、保健衛生業、接客娯楽業がともに75.3%、商業74.6%、製造業72.8%、鉱業72.7%──と続いている。

    これを前年と比べると、上位7業種の中で法違反率が前年を下回っているのは保健衛生業(マイナス0.1ポイント)だけで、他の6業種はいずれも前年を上回っており、映画・演劇業プラス4.5ポイント、運輸交通業プラス3.3ポイント、接客娯楽業プラス0.2ポイント、商業プラス3.1ポイント、製造業プラス1.7ポイント、鉱業プラス0.3ポイントとなった。

    次に、違反内容別の件数をみると、労働基準法関係は、労働時間(第32条、第40条)が2万7433件と最も多く、以下、割増賃金(第37条)1万9923件、労働条件の明示(第15条)1万5180件、就業規則(第89条)1万1437件、賃金台帳(第108条)9053件、賃金不払(第23条、第24条)5356件、休日(第35条)2279件、休憩(第34条)1672件、労働者名簿(第107条)1665件──などとなっている。

    また、労働安全衛生法関係の違反件数は、安全基準(第20条~第25条)が2万5645件(うち2万4712件が労働安全衛生規則関係)と最も多く、以下、健康診断(第66条)1万8747件(うち1万6830件が労働安全衛生規則関係)、定期自主検査(第45条)7325件、衛生基準(第20条~第25条)6571件、作業主任者(第14条)6099件、衛生管理者(第12条)5541件、注文者(第31条)4775件、作業環境測定(第65条)3544件(うち2642件が有機溶剤中毒予防規則関係)、安全衛生委員会等(第17条~第19条)2923件、安全衛生教育(第59条、第60条)1981件、就業制限(第61条)1817件──などと続いている。

    このほかに、最低賃金法違反(第4条の最低賃金の効力)が3221件、じん肺法違反が1014件(うち143件が第7条の就業時健康診断、871件が第8条の定期健康診断)、労働者派遣法の特例違反(第44条の労働基準法の適用に関する特例及び第45条~第47条の労働安全衛生法等の適用に関する特例)が247件(うち85件が労働基準法、162件が労働安全衛生法等)となっている。