労災請求件数、支給決定件数ともにやや減少
厚生労働省は、平成26年度における石綿(アスベスト)による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況(速報値)をまとめた。それによると、労災保険の請求件数、支給決定(業務上認定)件数ともに前年度よりやや減少している。
同省のまとめによると、石綿による疾病(肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚)に係る労災保険給付の請求件数は1095件となっており、前年度(1115件)と比べ20件(1.8%)減少した(25年度の数値は確定値。以下同じ)。また、支給決定件数(26年度に請求されたものに限らない)は、23年度から集計を始めた石綿肺(じん肺の一種で、22年度以前は単独の集計をしていない)の77件を含め1079件となっている(25年度の石綿肺の支給決定件数は77件)。なお、石綿肺を除いた支給決定件数は1002件で前年度(1007件)と比べ5件(0.5%)の減少となった。
これを疾病別にみると、請求件数は、肺がん465件(前年度420件)、中皮腫559件(同593件)、良性石綿胸水26件(同40件)、びまん性胸膜肥厚45件(同62件)となった。支給決定件数は、肺がん390件(同382件)、中皮腫528件(同528件)、良性石綿胸水32件(同44件)、びまん性胸膜肥厚52件(同53件)となっている。
次に、平成18年3月27日に施行された石綿救済法に基づく特別遺族給付金の請求・決定状況をみると、請求件数は36件となっており、前年度(40件)と比べ4件(10.0%)減少している。また、支給決定件数(26年度に請求されたものに限らない)は20件となっており、前年度(24件)と比べ44件(16.7%)減少した。
支給決定件数を疾病別にみると、肺がん13件(前年度14件)、中皮腫6件(同7件)、石綿肺0件(同3件)、びまん性胸膜肥厚1件(0件)となっている(請求時には疾病名は記載しないため、疾病別の請求件数は集計できない)。
なお、労災保険法に基づく石綿による疾病に係る保険給付の請求・支給決定件数を都道府県別にみると、請求・支給決定件数ともに上位3位は、東京、神奈川、大阪の順となった。