精神障害の労災認定は過去最多の497件

厚生労働省は、6月25日、平成26年度「過労死等の労災補償状況」をまとめた。それによると、脳・心臓疾患(過労死事案)の労災請求件数は763件(対前年度比21件減少)、業務上認定件数は277件(同29件減少)となっている。請求件数は3年連続の減少、業務上認定件数は2年連続の減少となった。また、精神障害の労災請求件数は1456件(対前年度比47件増加)、業務上認定件数は497件(同61件増加)となっている。請求件数は2年連続の増加、業務上認定件数は2年ぶりの増加となり、ともに過去最多となった。

  •  まず、過労死事案(労働基準法施行規則別表第1の2第8号に係る脳・心臓疾患)の労災補償状況についてみると、請求件数は763件となっており、前年度(784件)と比べ21件(2.7%)減少し3年連続の減少となった。また、支給決定(業務上認定)件数(26年度以前に請求があり26年度中に業務上認定されたものを含む。以下同じ)は277件で、前年度(306件)と比べ29件(9.5%)減少し2年連続の減少となった。

    請求件数及び業務上認定件数を業種別(中分類)にみると、請求件数が最も多いのは、「道路貨物運送業」の120件(全体の15.7%)、次いで、「その他の事業サービス業」48件(同6.3%)、「総合工事業」42件(同5.5%)、「飲食店」39件(同5.1%)、「道路旅客運送業」33件(同4.3%)──の順となっている。

    業務上認定件数が最も多いのは、「道路貨物運送業」の77件(全体の27.8%)、次いで、「飲食店」18件(同6.5%)、「総合工事業」16件(同5.8%)、「道路旅客運送業」12件(同4.3%)、「その他の事業サービス業」10件(同3.6%)──の順となった。

    職種別(中分類)にみた請求件数及び業務上認定件数は、請求件数が最も多いのは、「自動車運転従事者」の143件(全体の18.7%)、次いで、「建設従事者(建設躯体工事従事者を除く)」42件(同5.5%)、「商品販売従事者」40件(同5.2%)、「営業職業従事者」37件(同4.8%)、「その他のサービス職業従事者」34件(4.5%)──の順となっている。

    業務上認定件数が最も多いのは、「自動車運転従事者」の85件(全体の30.7%)、次いで、「法人・団体管理職員」24件(同8.7%)、「営業職業従事者」14件(同5.1%)、「飲食物調理従事者」13件(同4.7%)、「商品販売従事者」12件(同4.3%)──の順となった。

    また、年齢別にみた請求件数及び業務上認定件数は、請求件数が最も多いのは、「50~59歳」の251件(全体の32.9%)、次いで、「40~49歳」222件(同29.1%)、「60歳以上」198件(同26.0%)、「30~39歳」81件(同10.6%)と続いている。業務上認定件数が最も多いのは、「50~59歳」の111件(全体の40.0%)、次いで、「40~49歳」93件(同33.6%)、「30~39歳」39件(同14.1%)、「60歳以上」27件(同9.7%)と続いた。

    業務上認定された277件について、1ヵ月平均の時間外労働時間数をみると、「80時間以上100時間未満」が105件と最も多く、次いで、「100時間以上120時間未満」66件、「120時間以上140時間未満」32件、「140時間以上160時間未満」23件と続いている。このほかに、認定要件のうち、「異常な出来事への遭遇」または「短期間の加重業務」により業務上認定された事案が11件ある。

    次に、精神障害(労働基準法施行規則別表第1の2第9号に係る精神障害)の労災補償状況をみると、請求件数は1456件となっており、前年度(1409件)と比べ47件(3.3%)増加し2年連続の増加となり、過去最多を更新した。また、業務上認定件数は497件で、前年度(436件)と比べ61件(14.0%)増加し2年ぶりに増加に転じ、請求件数同様過去最多となった。

    業種別(中分類)の請求件数及び業務上認定件数は、請求件数が最も多いのは、「社会保険・社会福祉・介護事業」の140件(全体の9.6%)、次いで、「医療業」95件(同6.5%)、「道路貨物運送業」84件(同5.8%)、「その他の事業サービス業」64件(同4.4%)──の順となっている。業務上認定件数が最も多いのは、「道路貨物運送業」41件(全体の8.2%)、次いで、「社会保険・社会福祉・介護事業」32件(同6.4%)、「医療業」27件(同5.4%)、「飲食店」25件(同5.0%)──の順となった。

    職種別(中分類)にみた請求件数及び業務上認定件数は、請求件数が最も多いのは、「一般事務従事者」の210件(全体の14.4%)、次いで、「商品販売従事者」88件(同6.0%)、「自動車運転従事者」71件(同4.9%)、「営業・販売事務従事者」66件(同4.5%)──の順となっている。業務上認定件数が最も多いのは、「一般事務従事者」の56件(全体
    の11.3%)、次いで、「法人・団体管理職員」39件(同7.8%)、「商品販売従事者」34件(同6.8%)、「製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)」31件(同6.2%)──の順となった。

    なお、精神障害に係る事案の場合、精神障害の結果、自殺(未遂を含む)に至るケースがあり、26年度は請求件数が213件(対前年度比36件増加)、業務上認定件数が99件(同36件増加)となっている。