帰国後に就職している者の割合が半数超える

(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)はこのほど、平成26年度「帰国技能実習生フォローアップ調査」の結果をまとめた。調査は、技能実習を修了して帰国した技能実習生について、帰国後の就職状況や日本で修得した技術・技能・知識の活用状況などについて行ったもの。調査対象は、3年間の技能実習を修了した実習生(中国、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイの5ヵ国を選定)のうち、平成26年10月10日から11月30日までの間に帰国(予定を含む)した6274名で、そのうち有効回答を得た578名について集計している。

 調査結果をみると、技能実習生の職種は、「機械・金属製品製造」が24.9%と最も多く、次いで、「縫製・衣服」16.1%、「食料品製造」11.2%の順となっている。

 技能実習の効果についてみると、日本での技能実習が「役に立った」とする者の割合は98.4%となっており、国別にみると、「役に立った」とする者の割合は、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイの4ヵ国は100%、中国は97.7%となっている。具体的にどのようなことが役立ったかをみると(複数回答)、「修得した技能」が69.1%と最も多く、次いで、「日本での生活経験」62.2%、「日本語能力の取得」60.8%、「日本で貯めたお金」59.4%の順となっている。

 技能実習中の賃金の支払い状況をみると、「契約どおり(又は契約より多く)支払われた」94.1%、「契約とは異なり賃金は少なかった」2.8%となっている。また、実習期間中に困ったことの有無については、「困ったことはあった」32.0%、「困ったことはなかった」67.3%となっており、困ったことの具体的な内容としては(複数回答)、「家族と離れて寂しかった」が74.6%と特に多く、ほかでは、「残業が少ない」21.6%、「仕事が厳しい(きつい)」18.9%、「家賃が高い」16.2%などとなっている。

 次に、帰国後の状況についてみると、帰国後の就業状況は、「雇用されて働いている」が36.7%と最も多く、次いで、「仕事を探している」23.9%、「雇用されて働くことが決まっている」14.7%、「起業している」13.5%、「何もしていない」5.0%の順となっている。国別にみると、就職した者の割合(「雇用されて働いている」と「雇用されて働くことが決まっている」の合計)は、タイ(59.3%)と中国(55.7%)で高く、一方、ベトナム(30.8%)とインドネシア(32.8%)で低くなっている。

 帰国後の仕事の内容をみると、「実習で行った仕事と同じ内容」が56.5%と最も多く、以下、「実習と同じ仕事ではないが同種の仕事」18.7%、「実習で行った仕事と異なる仕事」14.4%となっている。