前年と比べて強度率では低下するも度数率は上昇

厚生労働省は、平成29年「労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)」の結果をまとめた。

この調査は、労働災害の発生状況に関し、災害の発生頻度や重さの程度について調べたもの。調査対象は、事業所調査は常用労働者10人以上の民・公営事業所約3万2000事業所、総合工事業は労災保険の概算保険料が160万円以上または工事の請負金額が税抜き1億8000万円以上(保険関係成立年月日が平成27年3月31日以前の工事現場については、税込み1億9000万円以上)の工事現場延べ5000工事現場。なお、今回の結果では、100人以上の労働者がいる1万908事業所及び総合工事業の延べ4704工事現場について集計している。

まず、事業所調査の結果をみると、度数率(100万延べ労働時間あたりの労働災害による死傷者数で、災害の発生頻度を表す)は1.66(前年1.63)、強度率(1000延べ実労働時間あたりの労働損失日数で、災害の重さの程度を表す)は0.09(前年0.10)となっている。また、死傷者1人平均労働損失日数は55.0日(前年60.0日)となった。

産業別にみた度数率、強度率は、度数率が最も高いのは、「農業、林業」の5.38(前年4.31)、次いで、「生活関連サービス業、娯楽業」(一部の業種に限る)4.27(同3.90)、「サービス業(他に分類されないもの)」(一部の業種に限る)3.38(同2.72)、「運輸業、郵便業」3.24(同2.97)、「宿泊業、飲食サービス業」(旅館、ホテルに限る)3.07(同3.28)の順となっている。

強度率が最も高いのは、「宿泊業、飲食サービス業」(旅館、ホテルに限る)の0.48(前年0.07)、次いで、「生活関連サービス業、娯楽業」(一部の業種に限る)0.31(同0.09)、「建設業」(総合工事業を除く)0.14(同0.17)、「運輸業、郵便業」0.13(同0.14)、「サービス業(他に分類されないもの)」(一部の業種に限る)0.13(同0.66)の順となっている。

次に、総合工事業(工事現場)についてみると、度数率が0.81(前年0.64)、強度率が0.18(同0.11)となっている。また、死傷者1人平均労働損失日数は225.2日(前年168.2日)となった。

これを工事の種類別にみると、土木工事業は度数率が1.19(前年1.14)、強度率が0.40(同0.24)、建築事業は度数率が0.74(0.57)、強度率が0.14(同0.09)となっている。